人工透析の時間はどのくらいかかる?知っておきたい必須情報

人工透析は、腎臓の機能が著しく低下した患者さんにとって必要不可欠な治療法です。透析には週に3回通院し、1回の治療に4時間ほどかかる血液透析と、1日数回の短時間透析を行う腹膜透析があります。

この記事では、人工透析の所要時間や治療スケジュールについて詳しく解説します。また、治療時間以外にも注意すべきポイントや、透析にかかる時間的コストについても触れます。透析患者さんやご家族の方、医療従事者の方々に、この情報が役立つことを期待しています。

血液透析の所要時間

1回の治療時間

血液透析の1回の治療時間は、一般的に3時間半から4時間前後となります。詳しくは以下の通りです。

  • 透析開始前の準備: 30分
  • 実際の透析時間: 3時間~3時間半
  • 透析終了後の処理: 30分

実際の透析時間は、患者さんの状態や透析装置の設定により多少前後しますが、およそ3時間~3時間半程度が標準的です。患者さんの体調やその日の状況によっても、時間が変動する可能性があります。

週の透析回数と所要時間

血液透析は、通常週3回の治療が行われます。そのため、1週間の総透析時間は以下のようになります。

  • 1週間の総透析時間 = 1回あたり4時間 × 週3回 = 12時間

つまり、血液透析患者さんは、1週間に約12時間の透析治療時間が必要となります。

通院日程と移動時間

血液透析は週3回の通院が必要になるため、患者さんの生活リズムに大きな影響を及ぼします。

  • 通院日: 週 月・水・金 または 火・木・土
  • 1回の通院所要時間: 往復2時間程度

週3回の通院に加え、1回あたり2時間程度の移動時間もかかるため、透析患者さんの1週間の時間的コストは相当なものとなります。

腹膜透析の所要時間

1回の透析時間

腹膜透析では、1日数回の短時間の透析液交換が必要です。

  • 1回あたりの交換時間: 20~30分
  • 1日の総交換回数: 3~5回

つまり、腹膜透析患者さんの1日の総透析時間は、1時間から2時間半程度となります。

週の総透析時間

腹膜透析は、1日数回の短時間の透析が必要ですが、毎日継続して行う必要があります。

  • 1週間の総透析時間 = 1日1.5時間 × 7日 = 10.5時間

血液透析と比べると、週当たりの総透析時間は短めですが、毎日の透析が欠かせません。

通院と移動時間

腹膜透析には、定期的な外来受診が必要です。

  • 通院頻度: 1~2週間に1回
  • 1回の通院所要時間: 往復1時間程度

腹膜透析では、週3回の通院が必要な血液透析に比べ、通院頻度は低くて済みます。しかし、自己管理が重要なため、患者さん自身の負担は大きいと言えます。

治療時間以外の留意点

準備・片付けの時間

透析治療には、準備や後片付けの時間も必要となります。

血液透析の場合

  • 穿刺部位の消毒や、シャントの確認など
  • 治療終了後のガーゼ交換や、シャント部の手当て

腹膜透析の場合

  • 無菌的な手技での透析液交換
  • 使用済み透析液の廃棄

これらの準備や後片付けに要する時間は、1回あたり30分程度と見積もられます。

合併症への対応時間

透析中や透析後に、低血圧やけいれんなどの合併症が起こる可能性があります。

  • 合併症発症時: 医療スタッフによる迅速な処置が必要
  • 症状観察や処置に時間がかかる

このような合併症への対応に要する時間も、治療時間とは別に考慮する必要があります。

食事療法と水分管理

透析患者さんには厳格な食事療法と水分管理が求められます。

  • 食事の準備や献立作り
  • 外食時の制限への配慮
  • 水分摂取量の管理

これらの生活管理にも、相当な時間と労力がかかります。

透析にかかる時間的コストについて

以上のように、人工透析には多くの時間的コストがかかります。

血液透析の場合

  • 1週間の総透析時間: 約12時間
  • 1週間の通院時間: 約6時間

腹膜透析の場合

  • 1週間の総透析時間: 約10.5時間
  • 1週間の通院時間: 約2時間

さらに、準備・後片付け、合併症への対応、食事・水分管理など、治療時間以外にも多くの時間的負担があります。

このように、透析治療は患者さんの生活に大きな制約を与えます。ただし、腹膜透析の方が、血液透析に比べ時間的コストが相対的に少ないというメリットがあります。

まとめ

人工透析には、治療そのものに加えて、様々な時間的コストがかかることが分かりました。週3回の通院や長時間の治療は、患者さんの生活リズムを大きく乱します。

医療従事者の皆さんには、患者さんの透析にかかる時間的負担を理解し、できる限り負担の軽減につながるような支援をしていただきたいと思います。

また、透析患者さん自身も、この情報を参考に、自分に合った透析方式を選択したり、生活面でのケアに取り組んでいただければと思います。

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