人工透析中の摂取量には要注意!適切な栄養摂取の秘訣とおすすめレシピ5選

人工透析療法を受ける患者さんにとって、適切な栄養管理は非常に重要です。透析中は、たんぱく質やミネラルなどの制限が必要となるため、さまざまな工夫が求められます。本記事では、人工透析患者さんの栄養管理のポイントと、おすすめの食事レシピをご紹介します。

人工透析患者に必要な栄養管理のポイント

人工透析患者さんの栄養管理では、以下のような点に特に注意が必要です。

たんぱく質の適正摂取

たんぱく質の摂りすぎは、血中の尿素窒素の上昇を招くため、適切な量を摂ることが重要です。一方で、過剰な制限は低栄養につながるリスクもあるため、慎重に管理する必要があります。

塩分・水分の制限

腎機能の低下により、体内の塩分や水分が貯留しやすくなります。透析中の除去量と、食事からの摂取量のバランスを考慮し、適切な塩分・水分管理が求められます。

カリウムの制限

腎不全では、カリウムの排出が障害されるため、高カリウム血症のリスクがあります。食事からのカリウム摂取量を制限することが重要です。

リンの管理

リンの蓄積は二次性副甲状腺機能亢進症のリスク因子となるため、リンの摂取量を適切に管理する必要があります。

ビタミンやミネラルの補給

腎不全や透析療法により、ビタミンやミネラルの欠乏が生じやすくなるため、必要に応じて補充することが重要です。

以上のように、人工透析患者さんの栄養管理では、たんぱく質、塩分、水分、カリウム、リン、ビタミン・ミネラルなど、さまざまな観点から細かな配慮が求められます。

人工透析患者の食事療法のポイント

人工透析患者さんの食事療法を立案する際のポイントは以下の通りです。

個別の栄養計画の立案

患者さんの年齢、性別、基礎疾患、透析方法、検査値など、個々の状態に合わせた栄養計画を立てることが重要です。

食事内容の工夫

制限foods を避けつつ、嗜好や楽しみも取り入れた、バランスの取れた食事を提案します。

食事記録の活用

患者さん自身が食事内容や摂取量を記録し、医療スタッフと共有することで、適切な指導につなげられます。

家族の協力

患者さんの家族に食事療法の意義や内容を理解してもらい、協力を得ることが重要です。

このように、人工透析患者さんの食事療法を立案する際は、個々の状況に合わせた柔軟なアプローチが求められます。

人工透析患者さんにおすすめの栄養バランスの良いレシピ5選

ここでは、人工透析患者さんにおすすめの栄養バランスの良いレシピをご紹介します。

1. 鶏肉と根菜の煮物

<材料>(2人分)

  • 鶏モモ肉 200g
  • 大根 100g
  • にんじん 100g
  • ゆでポテト 1個
  • 醤油 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • 塩 少々

<作り方>

  1. 鶏肉は一口大に切る。大根とにんじんは乱切りにする。
  2. 鍋に鶏肉、野菜、ゆでポテト、醤油、みりん、塩を入れ、弱火で20分ほど煮る。
  3. 具材に火が通ったら出来上がり。

ポイント

  • たんぱく質源の鶏肉と、カリウムが控えめな根菜を組み合わせた一品です。
  • ゆでポテトを加えることで、食べ応えのある煮物になります。
  • 醤油とみりんで味付けすることで、塩分控えめながらも旨味のある仕上がりです。

2. 豆腐とわかめの中華風スープ

<材料>(2人分)

  • 絹ごし豆腐 1/2丁
  • わかめ 5g
  • 小松菜 100g
  • 卵 1個
  • 鶏がらスープの素 小さじ1
  • 塩 少々
  • こしょう 少々

<作り方>

  1. 豆腐は1cm角に切る。わかめは戻し、小松菜は2cm長さに切る。
  2. 鍋に水600mlを入れ、鶏がらスープの素、塩、こしょうを溶かす。
  3. 2に豆腐、わかめ、小松菜を入れ、中火で5分ほど煮る。
  4. 卵を溶き卵として加え、さっと混ぜて完成。

ポイント

  • たんぱく質源の豆腐と食物繊維の豊富なわかめ、小松菜を使用。
  • 鶏がらスープの素で旨味を出し、塩分は控えめにしています。
  • 卵を入れることで、見た目も華やかに仕上がります。

3. さばの塩焼きとブロッコリーのサラダ

<材料>(2人分)

  • さば開き 2切れ
  • ブロッコリー 100g
  • レタス 1/4個
  • 醤油 小さじ1
  • れんこん 20g
  • オリーブオイル 小さじ1
  • 塩 少々

<作り方>

  1. さばに塩を振り、フライパンで両面を焼く。
  2. ブロッコリーは小房に分け、レタスは1cm幅に切る。れんこんは細切りにする。
  3. ボウルにブロッコリー、レタス、れんこんを入れ、醤油とオリーブオイルを和える。
  4. さばの焼き魚と野菜サラダを盛り付ける。

ポイント

  • さばはたんぱく質が豊富な魚。
  • ブロッコリーはビタミンやミネラルが豊富で、カリウムが控えめ。
  • れんこんはカリウム含量が低く、食物繊維もあるので良い選択肢です。
  • 調味料は控えめにしつつ、バランスの取れた1皿に仕上がっています。

4. 高野豆腐のそぼろ煮

<材料>(2人分)

  • 高野豆腐 4枚
  • 鶏ひき肉 100g
  • 玉ねぎ 1/4個
  • しょうが(すりおろし) 小さじ1
  • 醤油 小さじ2
  • みりん 小さじ1
  • 水 1/2カップ

<作り方>

  1. 高野豆腐は水で戻し、一口大に切る。玉ねぎはみじん切りにする。
  2. フライパンに鶏ひき肉、玉ねぎ、しょうが、醤油、みりんを入れ炒める。
  3. 2に水と高野豆腐を加え、弱火で15分ほど煮る。

ポイント

  • たんぱく質源の鶏ひき肉と、水分調整のできる高野豆腐を使用。
  • 玉ねぎとしょうがで風味を付けています。
  • 醤油とみりんで味付けし、塩分は控えめにしています。

5. さつまいもとリンゴのベイクド

<材料>(2人分)

  • さつまいも 1本
  • リンゴ 1/2個
  • 無塩バター 10g
  • メープルシロップ 大さじ1

<作り方>

  1. さつまいもは皮をむき、1cm厚さのスライスに切る。リンゴは1/2に切り、種を取り除く。
  2. オーブントレーにさつまいもとリンゴを並べ、バターとメープルシロップを全体に絡める。
  3. 180度のオーブンで25分ほど焼く。

ポイント

  • さつまいもはカリウム含量が控えめ。リンゴは酸味が食欲をそそる。
  • バターとメープルシロップで、自然な甘みを出しています。
  • 電子レンジではなくオーブン調理することで、食感やおいしさが引き立ちます。

以上、5つのレシピをご紹介しました。いずれも人工透析患者さんの食事療法に適したバランスの良い内容となっています。

まとめ

人工透析療法を受ける患者さんにとって、適切な栄養管理は大変重要な課題です。たんぱく質、塩分、水分、カリウム、リンなど、さまざまな観点から細かな配慮が求められます。

患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別の栄養計画を立案し、楽しみながら食事療法に取り組めるよう、医療スタッフが工夫を凝らすことが重要です。

今回ご紹介したレシピのように、味わい深く栄養バランスの良い料理を提案することで、患者さんの QOL の維持・向上につなげられると考えます。

人工透析療法を受ける患者さんの生活の質を高めるには、適切な栄養管理が欠かせません。医療スタッフと患者さんが協力して取り組み、より良い療養生活の実現を目指していきましょう。

一覧へ戻る